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DVD"Seeing/Hearing/Speaking" (2002)

「Seeing/Hearing/Speaking」はフランスの哲学者、ジャック・デリダの重要な初期の著書、「声と現象」(Speech and Phenomena)ーデヴィド・B・アリソンの英訳によるーからひとつの文の引用とその変化形から制作された。デリダを引用した最初のビデオは「Talking to Myself: Phenomenological Operation」(1978 年)で、この作品は英訳者のアリソン教授により、「デリダの作品から可能なもっとも強力で、効果的な言明」として、高く評価された。私が引用した文は、デリダが「現象学的な本質」と呼ぶもので、それは、I hear myself at the same time that I speak(私が話すことを同時に私自身聞く)である。
このビデオによって分かることは、引用した文において「私が話すこと」と「私が聞くこと」の間には、肉声では自明とされるアイデンティティは必ずしも保証されていない。ビデオではその間に分裂があって、「私が話すこと」の「私」と「私が聞くこと」の「私」は常に同一とは言えない。何故なら、音と画像が同期する同期音で話す画像の中の「私」は、非同期音の画像の外の「私」が話すことを聞くことは不可能だからである。両者を同時に見る/聞くのは、観客のみである。さらにデリダの文を反転し、それをデリダのオリジナルの文に接続することによってひとつの循環するエンドレスの構文を作った。すなわち、I hear myself at the same time that I speak to myself at the same time that I hear...(私が話すことを同時に私自身聞くことは私が聞くことを同時に私自身に話すこと...)
新しいDVDは単なるビデオの変換ではなく、テキストや、ビデオをと共に、インターアクティブにはたらき、例えば、「 Hearing / Speaking」では、ビデオ・インスターレーションの画面では、顔、頭、耳、口などの画面のあるモニターから選んで、それぞれ異なったプログラムを見/読むことができる。だから「聞くこと/話すこと」をそれぞれの器官と共に、知覚し、限定できる。このDVDでは「Seeing」と共に「Hearing/ Speaking」の知覚と結合して三つの知覚を統合した。
これまで、私は現実の声とは異なるビデオにおけるひとつのアイデンティティ、すなはち、「聞く私」と「話す私」の間の有効性を検証してきたが、新作において、それは「見る私」と「見られる私」に及んでいる。
なお、このDVDは新作の「Seeing/Hearing/Speaking」(2002) に加え、関連する3本のビデオ作品:「Talking to Myself: Phenomenological Operation」(1978)、 「Talking in New York」(1978-2001)、「Talking to Myself at PS1」(1985)ーそれぞれ同じデリダの文が引用されーも同時に収録(ビデオ全部で33分、他に以下の分野を読む/見る時間がかかる)されている。さらにビデオの他に、テキスト、グラプィックス、アニメーションを含むインターラクティブなマルチメディア作品となっている。
「私はDVDの<見ること/聞くこと/話すこと>を非常に愉しんだが、これは真実、傑作だと思う。何故なら、このDVDをとうしてデリダの思想との関係の理論的、知的な面を捉えることが出来るばかりではなく、自分のアイデンティティの(デリダ用語を使えば)<脱構築>の「めまい」(アリソンが云う)、すなわち抽象ではなく、感覚、前、あるいは原ー理論的な理解と生活、デリダの意味での<相違>や<差延>の直感を捉えることが出来るからだ。」
ダニエル・シャルル(フランスの哲学者、「ジョン・ケージ」の著者)
企画、制作、演出、編集、出演:飯村隆彦
共同制作:ユーフォニック(株)
協力:東京工芸大学、Alfred University, New York
助成:New York State Council on the Arts.
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