1999年1月

飯村隆彦のNewsletter No.9

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オノ・ヨーコとジェンダー

Kitchen (N.Y.)で「TVディナー」

CD-ROM「Observer/Observed」完成

「Big as Life」MoMA

ジュ・ドゥ・ポム国立ギャラリー個展

「VR 日仏シンポジュウム」で講演

「takahiko iimura at the Lux」発売

ワールド・ワイド・ビデオ・フェスティバル

ビデオナーレ 8(ボン)でも

ビデオ・ブラジルでも上映

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賀正   昨年中は大変お世話になりました。

 1998年は、2月のヒルサイド・フォーラム(代官山)での3回目の「meata media 」 展に始まり、3月にはカナダのバンフにあるバンフ・アート・センターに飛んで「Observer/Observed」のビデオ制作、周囲が雪山に囲まれたスタジオで2週間、ほぼカンヅメ。3月後半はニューヨークに移って、4月の始めにかけて、フィラデルフィアのテンプル大学からピッツバーグのカーネギー・メロン大学まで、東部の4大学での連続上映と講演のツアー、さらにシンシナティーの州立大学で講演。7月には、ニュージーランドの映画祭に初めて招かれ、オークランドとウェリントンで質疑応答。8月には、ユーフォニック(東京)の岩島民和氏とともに、再度、バンフ・アート・センターでビデオのデジタル化とCD-ROM制作を行い、9月にはロンドンのLUX Centre で、4晩、6プログラムを連続上映。そのあと、オランダ、ドイツ5都市で「飯村隆彦の60年代の映画」のプログラムを巡回上映。帰国後は、作品のみが、ビデオ・ブラジル(サンパウロ)、ビデオナーレ(ボン)、リスボン国際映画祭、ワールド・ワイド・ビデオ・フェスティバル(アムステルダム)、MUUメディア・フェスティバル(ヘルシンキ)などで上映されました。今年はもっと国内でも発表したいと思っています。皆様にとって、飛躍の年でありますようにお祈り申し上げます。

 本年もよろしくお願いします。                

1999年1月吉日

■オノ・ヨーコとジェンダー            

飯村隆彦が主幹するアイ・シネマテーク第7回は、日本ではほとんど紹介されていないオノ・ヨーコの幻の映画を特集上映する。 1960年後半から70年にかけて制作した(いくつかの作品はジョン・レノンと共同制作による)映画は、欧米ではしばしば彼女の個展や美術館でも上映されている。今回は、特にフェミニズムの先駆的な作品として、ジェンダーの視点からプログラムを構成。              本人もビデオ/電話/ライブのいづれかでトークの予定、さらにフェミニズム映画理論を展開する斉藤綾子氏をゲストに対談も組まれている。1月23日(土)、アテネ・フランセ文化センター(JRお茶の水駅下車徒歩7分、 Tel. 03-3291-4339)で、午後3時と6時の2つのプログラム。 参考作品に飯村隆彦の「LOVE」(音楽:オノ・ヨーコ)(1962年)と「YOKO ONO : This is not here」(1971年)の作品も上映される。

■Kitchen (N.Y.)で「TVディナー」 

ニューヨークのパフォーマンス・音楽・ビデオのライブハウスとして名高いキッチンで、キャバレースタイルの「TVディナー」が、3月5日(金)、6日(土)と飯村隆彦の新作CD-ROMの個展のオープニンブとして開かれる。「TVディナー」は、キッチンがファウンド・レージング(資金集め)も兼ねて、ディナーつき25ドルの料金で、ライブファンを招待するもので、ナム・ジュン・パイクなどビデオ・アートの第一線のアーティストと組んで行う特別プログラム。ゲストにジョナス・メカスやオノ・ヨーコ(予定)がスピーチ、上映プログラムには、新作のCD-ROM「インタラクティブ:あいうえおん六面相」、「Observer/Observed」の他、60年代から90年代までの映画/ビデオからの抜粋作品、また、「あいうえおん六面相」のパフォーマンスも予定される。CD-ROMの個展は、3月27日までキッチンの画廊で開催される。アドレスは、the Kithchen、 512 W.19th St.New York, NY10011 U.S.A. Tel. 212-255-5793

■CD-ROM「Observer/Observed」完成 

カナダのバンフ・アート・センターと東京のユーフォニック社との共同制作によるCD-ROM「Observer/Observed」は、当初DVD版制作も考えられていた(Newsletter no.7-2)が、予算と販売面での問題からCD-ROMで 制作。再制作されたビデオに加えて新しくCGとアニメーション、またテキスト(日本語と英語)も書き加えられ「ビデオの記号学」と「日本語の構造における視覚性」の2本が掲載され、それぞれの間に作品毎のリンクがはられて、文字どおり、マルチメディアの作品となっている。今回の作品を見たテンプル大学教授で、メディア・アーティストのピーター・ダゴスティーノは、「明晰に構成されたこのCD-ROMはビデオアートとその理論の古典的な作品に新しい世代のアクセスをもたらすものだ」と評した。この作品は他のCD-ROMやビデオ作品と同様、飯村隆彦映像研究所(杉並区高円寺南4-35-7 Tel.03-3314-0138、Fax 3310-8845)より販売。(詳しくは販売リストを切手80円を同封の上、ご請求下さい。)

■「Big as Life」MoMA

ニューヨークの近代美術館(MoMA)が2年がかりで特集する8ミリ映画の連続上映「Big as Life」のカタログが発刊され、上映予定の飯村の「Ai(Love)」(1962)や「いろ」(1963)などがキュレターのスティーブ・アンカーによって取り上げられた。この上映はMoMAの試写室を開放して、毎週1回行われるもので、60年代から90年代まで、8ミリ映画の代表作を歴史的に回顧する。スタン・ブラッケイジやケン・ジェーコブスと共に飯村の8ミリは60年代後半にメカスの主幹するニューヨークのシネマ・テークなどで上映されていた。飯村の作品は99年3月の上映予定。

■ジュ・ドゥ・ポム国立ギャラリー個展

パリのジュ・ドゥ・ポム国立ギャラリーの個展が、1997年以来、企画されていたものが、やっと実現の運びとなった。ジュ・ドゥ・ポム国立ギャラリーは、コンコルド広場に面して、かつて印象派美術館として親しまれていたものが、1991年以来、現代アートを専門に、しばしば個展方式の大胆な企画で、問題を提起してきた。映像の面でも、ジョナス・メカスやシャンタール・アッカーマンなどの前衛的な作家の個展を開き、日本作家では飯村隆彦が初めて。映画とビデオの作品を1960年の初期から最近作まで、系統的に10あまりのプログラムで上映する。1999年5月4日からオープンすることになっており、個展と同時にフランス語と日本語によるエッセイを中心としたカタログも発刊される。エッセイには、哲学者のダニエル・シャルル、アーティストのクリストフ.シャルル、 批評家のニコラ・ビルドレと作家自身の文章が掲載される予定。また、同時にパリのエスパース・ドンギー画廊でもフィルムとビデオ及びCD-ROMによるインスタレーション、版画の展示などが開催され、マルチメディア・アーティストとしての 飯村の映像世界の全体像を紹介する。今回の企画には、すでに笹川日仏財団の助成が内定している。

■「VR 日仏シンポジュウム」で講演

フランス政府と慶応大学が共催した「バーチャルリアリティ:その科学技術的、社会文化的、芸術的インパクト」と題する日仏合同のシンポジウムに作品「Observer/Observed」と共に「ビデオの記号学」の講演が、12月4日、慶応大学の公開シンポジウムで行われた。このシンポジウムは学際的に学者、技術者、アーティストが最近のVRについて議論するもので、飯村のビデオはVRへの記号学的なアプローチとして注目された。参加者には、フランス側からフィリップ・ケオー(ユネスコ)、フィリップ・コドニエ(パリ第6大学教授)、モーリス・ベナユン(デジタル・アーティスト)、日本側から岡田光弘(慶応大学教授)、広瀬通孝(東京大学教授)、沼岡千里(ソニー・コンピュータ・サイエンス研究所研究員)などが参加した。また、シンポジウムに先立って、箱根の旅館に合宿して、3日にわたる議論が展開され、完成したばかりのCD-ROM「Observer/Observed」が紹介された。

■「takahiko iimura at the Lux」発売

 昨秋、9月の始めに開催されたロンドンのラックス・センターでの個展に際して発刊されたエッセイ集「takahiko iimura at the Lux」(B5、 63頁、英文)が一部1,500円で発売されている。エッセイにイギリスの批評家マルコム・レ・グレイスの飯村の映画を論じた「Getting the Measure of Time」、飯村自身のロンドンの国際会議での発言「Identity in the Video of Takahiko Iimura」と20年ぶりに完成した長文の論文「A Semiology of Video」が掲載されている。グレイトブリテン・ササカワ財団の助成による。購入は、飯村隆彦映像研究所(杉並区高円寺南4-35-7 Tel.03-3314-0138、Fax 3310-8845)へ切手180円を同封の上、お申し込み下さい。他にこれまで発刊された5種類のカタログも発売されており、詳しくは「販売リスト」をご参照下さい。

■ワールド・ワイド・ビデオ・フェスティバル 

 アムステルダムのワールド・ワイド・ビデオ・フェスティバル(W.W.V.F. 1998年9月17日〜21日)は、ビデオからマルチメディアまでオランダを代表するメディア・アート・フェスティバル。かつて、1980年にも参加してビデオのライブ・パフォーマンスを行っているが、今度はCD-ROM「インタラクティブ:あいうえおん六面相」の最新バージョンを出品した。本人の代わりにメディア・プロデューサーの姜聲夢氏が出席したが、作品は好意的に迎えられたという。分厚いカタログに作品について丁寧な評価があって「これは飯村が、同じ題のインスタレーションのみならず、このCD-ROMでも演じるゲームで、マルチカルチャリズムの作品であり、表現的で同時に指示的な機能をもつ、記号と音とイメージによって多様性の中に統一した関係をもっている」と書いている。

■ビデオナーレ 8(ボン)でも

  ボンのビデオナーレは、W.W.V.F.に比べると地味ながら、真面目な取り組みで知られるメディア・フェスティバル(9月25日〜29日)。必ずしもフェスティバル向きとは言えない、ビデオ作品「Observer/Observed」が上映されたことからも伺えるところ。一方、ビデオナーレが、5月のオスナブリュックでのヨーロッパ・メディア・フェスティバル(こちらにも、アムステルダムと同じCD-ROM作品を上映)と競い合うドイツの状況はメディア・アート・フェスティバルが映画祭と同じように受け入れられていることを示している。この点、メディア毎に分化されて、フィルム/ビデオ/コンピュータなどメディア・アートを総合的に現代アートとして扱うメディア・アート・フェスティバルが日本ではメディア同士のセクショナリズムのためか、なかなか実現されない。

■ビデオ・ブラジルでも上映

南アメリカで、もっともビデオ・アートが盛んなブラジルでは、サンパウロのビデオ・ブラジル・フェスティバルが、インターナショナル・アルテ・エレクトロニカという名前を加えて、電子芸術まで含むフェスティバルに脱皮した。9月22日から10月25日までの1ヶ月間ヨーロッパとアメリカの代表的なグループ(ロンドンのアンチ・ロム他)やアーティスト(イタリアのファブリオ・プレミ他)を招待してインスタレーション、パフォーマンス、スクリーニングと多様な展開を見せた。以前にもビデオ出品しているが、今回はCD-ROM「インタラクティブ:あいうえおん六面相」が上映され、カタログにも掲載され、さらにフェスティバルの主要作品が入ったCD-ROMも送られて、文字どおりマルチメディア化した。

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