2001年12月

飯村隆彦のNewsletter No.14

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Seasonユs Greetings
A Happy New Year

「Observer/Observed」EXPO映画祭受賞

MoMA(ニューヨーク)個展

「ヨーコ・オノ」出版記念講演会

THAW01フェスティバル、アイオワ

メキシコ市で大個展

「オブザーバ/オブザーブド」受賞

DVD「間:竜安寺石庭の時/空間」ハリス美術館(イギリス)   

アンダーグランド・アーカイブス

サンフランシスコで8ミリ

影響のあった5本の映画

ブロツラフでCD-ROM

パリ―ベルリン、ランコントレ

アーティスト・イン・レジデンシー(イタリア)

8ミリフィルム・パフォーマンス、京都で

マニラでデジタルメディア祭

アメリカ東部の大学ツアー

新作DVD「Seeing/Hearing/Speaking」

カフェ・パフォーマンス

「Reviews of Takahiko iimura」発刊

56789 10111213| Newsletter14 | I's Media Art News No.1

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2001年をふりかえって

1月
「Observer/Observed」EXPO映画祭受賞
1月25日、ドンネル・ニューヨーク図書館で、EXPO映画/ビデオ祭が開かれ、実験映画作品部門でブロンズ賞を受賞したビデオ/CD-ROM「Observer/Observed」(1998-99)が上映され、本人も出席してあいさつした。この映画祭はニューヨークで34回目を迎えた短編映画/ビデオ専門の伝統ある映画祭。ここでの受賞は意味がある。

3月
MoMA(ニューヨーク)個展
2年間、週1回づつ延々とつづいたニューヨーク近代美術館(MoMA)の「アメリカ8ミリの映画史」展で、1月11日に「いろ」(1962)と「モメンツ・アット・ザ・ロック」(ビデオ、1985)が、1月25日には「Ai (Love)」(1962)が上映され、作家も出席して質問に答えた。MoMAの試写室を使っての小ぢんまりした8ミリらしい上映会。8ミリ映画史にも目を配るMoMAの周到さは並大抵ではない。また、個展形式で実験映画作家を紹介するMoMAの「シネ・プローブ」(3月19日)で、飯村の60年代の映画がまとめて上映された。プログラムは「くず」(1962)、「Ai(LOVE)」(1962)、「フィルムメーカーズ」(1966-69)など大きな会場に鮮明な映像を映した。「シネ・プローブ」での上映は、25年ぶりながら、今もって実験映画の歴史が生きているという実感がある。さらに、ダウンタウンの実験映画専門のミニ・シネマ・RBMCでは東京でも前年に40年ぶりに再演した「8ミリフィルム・パフォーマンス」をやはり60年代のフィルムを使って行なった。とくに最後の「ホワイト・カリグラフィ」(1967)では自らプロジェクターをかかえて、壁、天井、床、観客などへ上映して、東京ではなかったパフォーマンスを行ない、後述の京都でも同じパフォーマンスを再現した。

「ヨーコ・オノ」出版記念講演会
ニューヨーク最大の日本の書籍店、紀伊国屋では飯村の「ヨーコ・オノ 人と作品」(水声社)出版を記念した講演会(3月29日)がもたれ、ヨーコの思い出も含めて、彼女のアートを論じた。この記事は「ヨミウリ・アメリカ」の4月6日号に大きく紹介された。

THAW01フェスティバル、アイオワ
中西部アイオワ州のアイオワ市でのニュー・メディアを含めるTHAW01フェスティバル(3月29日-31日)で、CD-ROM「あいうえおん六面相」が受賞した。アメリカでの映画祭のデジタル化が中西部の町にも及んでいるが、残念ながら、日本にはCD-ROMを含める映画祭はまだない(いつになるだろうか)

4月
メキシコ市で大個展
メキシコでの最初の個展が17世紀に建てられた石造の教会を美術館にした国立アルテ・アラメディア(4月5日-7月1日)で3ヶ月近くの長期にわたって開かれた。フィルム、ビデオ、さらにCD-ROMのインスタレーションとパフォーマンス、そしてフィルム、ビデオのスクリーンでの上映など盛り沢山の内容。とくにステンドグラスのある高い天井を活かしたループフィルムを使用したパフォーマンス/インスタレーション「サークル&スクエア」が圧巻だった。10社に及ぶ新聞、テレビ、雑誌などのインタビューぜめで、日本のメディア・アートが展示されることは初めてということで、関心の高さを示した。

「オブザーバ/オブザーブド」受賞
アメリカのペンシルベニアのカッツタウンでのNAP (New Art Program)ビデオビエンナーレで「オブザーバ/オブザーブド」が受賞した。このフェスティバルはアメリカでも数少ない実験的なフィルムやビデオを専門とするフェスティバルで、ここでの受賞は価値がある。

DVD「間:竜安寺石庭の時/空間」ハリス美術館(イギリス)
2000年の9月にイギリス、オックスフォード近代美術館で始まった「Enclosed & Enchanted」に招待されたDVD版「間:竜安寺石庭の時/空間」(1989)が巡回して4月27日から同じイギリスのプレストン市のハリス美術館で展示された。このフィルムはニューヨークのメトロポリタン美術館の委嘱で制作されたもので、今回の展示のためDVD化された。

5月
アンダーグランド・アーカイブス
日本でもアーカイブス運動が動き始めた。メカスの主幹するニューヨークのアンソロジー・フィルム・アーカイブスは有名だが、東京、下北沢のシネ下北沢で、主に60年代の実験映画、ドキュメンタリーなど、35プログラムが5月12日より、7週間開催され、飯村の60年代のAi(LOVE)他3作品が上映された。これに関してミニコミ誌「あいだ」(6月号)に飯村のエッセイ「アーカイブすることのラジカルな意味」が掲載された。また、その関西版が9月に開かれた。(9月の頁参照)

サンフランシスコで8ミリ
今でも8ミリ映画の伝統が根づいているサンフランシスコで8ミリ、それも旧タイプのレギュラーを含めての映画祭が、ヤーバ・ボーナ・アート・センターで5月26、27日と開かれ「くず (JUNKS)」(1962)の8ミリが上映された。同市の実験映画の本拠、S.F.アート・インスティテュートのリップツィン教授が組織した。デジタル時代に8ミリ映画が見直される意味がある。

影響のあった5本の映画
5月に発刊されたニューヨークの実験映画の専門誌「Millennium」春号に、「あなたにもっとも影響を与えた5本の映画」というアンケートに答えて、飯村はスタン・ブラッケージ「ソングス・シリーズ」(1964-69)、 アンディ・ウォーホール「エンパイア」(1964)、ジャン・リュック・ゴダール「女と男のいる鋪道」(1962)、ピーター・クーベルカ「アーヌルフ・レイナー」(1958-60)、モーリス・ルメートル「映画はもう始まったか」(1951)をあげた。またシカゴで刊行された「White Walls」(2000年冬号)には「ビデオの記号学」のタイトルでビデオ「オブザーバー/オブザーブド」のダイアグラムが10頁にわたって掲載された。これも実験映画/ビデオア−トの専門誌

ブロツラフでCD-ROM
ポーランド、ブロツラフのWROフェスティバル(5月1-6日)は、東ヨーロッパでは先駆的なメディア・フェスティバルで、CD-ROM「オブザーバ/オブザーブド」が展示された。かつて(10年前)パフォーマンスで参加したこともあるが、今回は作品のみ。送られたカタログにはZKM(ドイツ)をはじめ、ヨーロッパの有数のCD-ROM作品が展示されている。

6月
パリ―ベルリン、ランコントレ
パリとベルリンを結ぶ、映画/ビデオ/マルチメディアのフェスティバル「パリ―ベルリン、ランコントレ」が旧東ベルリンのパン工場跡の映画館で開かれ、「オブザーバ/オブザーブド」のビデオをもって参加した。ベルリンには10年前にDAAD(ドイツ学術交流会)のアーティスト・レジデンスで滞在したこともあって、友人も多い。市の中央のミッテの高層ビルにはかつて個展をしたアーゼナル・キネマテークが移って、すっかり新装され、館長のウーリッヒ・グレゴリー氏も健在、再個展の話しも出た。

8月
アーティスト・イン・レジデンシー(イタリア)
絵はがきに見るような北イタリア、コモ湖畔の17世紀に建てられたヴィラで、8月中旬から1ヶ月をアーティスト・イン・レジデンシーとして過ごした。ロックフェラ−財団(ニューヨーク)のグラントで、学者とアーティストが合宿してそれぞれの研究や作品を発表しあうユーニークな制度で、湖の眺めとワインとパスタで過ごしたレジデンシーであった。この間、新作DVD/CD-ROM「Seeing/Hearing/Speaking」のための自身の「デリダの理論とメタ・メディア」の論文の英訳を行なった。

9月
8ミリフィルム・パフォーマンス、京都で
「アンダーグランド・フィルム・アーカイブス」の関西版が神戸、大坂、京都で開かれ、京都のアート・コンプレックス(9月24日)で、60年代に初演した40年ぶりの「8ミリ・フィルム・パフォーマンス」の最も大きなバージョンが公演された。「くず」(1962)では犬の骸骨がスクリ−ン前の中空につるさげされ、その大きな影がスクリーン上を占め「ダダ62」では、やはりつり下がった白いカンバスと背後のスクリーンとに同時にイメージが投映され、「さかさま」(1963)では映写機が天地、左右に転置されて、壁や床に投映された。その間、映写ではコマ止め、逆回転、停止(暗転)、スロー映写(4〜16コマ)、フレーム操作(いわゆる"2階")、フォーカス操作(ピンボケ)など多様なパフォーマンスが行なわれた。圧巻は最後の「ホワイト・カリグラフィ」(1967)で自ら映写機をもってステージから会場の天井、壁、床などさらにフロアに降りて、観客の服などに投映した。フィルム上にひっかいた漢字とひらがなの文字(「古事記」より)が光となって飛び回った。


10月
マニラでデジタルメディア祭
アジアでは珍しいデジタルメディア・フェスティバルがフィリピン大学で開かれた(10月8日-11日)。CD-ROM「あいうえおん六面相」、「Observer/Observed」の2作品について、講演と上映を行なった。他にシンガポールからも参加者があり、現在アジアの主要国にわたるネットワークを構築中。2002年には同大学で企画する国際的なアートとテクノロジ−展にも参加の予定。

11月
アメリカ東部の大学ツアー
9月11日の事件で多くのアート・イベントがキャンセルされた中で、9月から11月に延期した上映ツアーが、アメリカ東部、シンシナティ、デートン、ピッツバーグなどの大学とアート・センターでの講演を含め実現した(10月30日-11月4日)。特にピッツバーグ・フィルムメーカーズではフィルム・インスタレーション「1Sec. & ∞」を長年実現できなかった旧式のアームの延びた(骨董的な)サイレント・プロジェクターで行なった。それら2台のコダックの映写機に、まっ黒(クロミ)と透明(スヌケ)のループ・フィルムがそれぞれ天井から吊り下がり、前者は光をさえぎり、後者は光のみを映写するが、一瞬(1秒)、それぞれ逆の現象(光と暗転)が起こって、無限大の中に瞬間が共存する。

新作DVD「Seeing/Hearing/Speaking」
ニューヨーク州の北部バッファローに近いアルフレッド大学ではニューヨーク州アートカウンシル助成の1週間のアーティスト・イン・レジデント(11月5-10日)として、新作のDVD「見ること/聞くこと/話すこと」(Seeing/Hearing/Speaking)を制作した。旧作のビデオ「私自身に話すこと」(1978)を発展させたもので、ジャック・デリダの文を引用しながら、テキスト、グラフィックス、ビデオを総合したマルチメディア作品。他に旧作の関連ビデオ3本「Talking to Myself : Phenomenological Operation」(1978-2001)、「Talking in New York」(1981-2001)、「Talking to Myself at P.S.1」(1985)の改作したバージョンも収録されている。共同制作として、東京のユ−フォニック社が加わり、東京工芸大学が協力している。

12月
カフェ・パフォーマンス
渋谷に開店したPhaidros CAFEのオープニング(12月2日)にビデオ作品「私があなたを見るようにあなたは私を見る」(1990)他2本の上映とパフォーマンス「あいうえおん六面相」(1993-2001)を行なった。このパフォーマンスは、かつてニューヨークのキッチン(1998年)でも行なったこともある作品で、ビデオ画面とライブの顔が重なって相互に発声する。飯村のパフォーマンスのあと、河合政之、服部かつゆき、瀧健太郎氏らによる飯村作品を引用したパフォーマンスもあって、満員の観客を楽しませた。また、狩野志歩、石田尚志氏をはじめとする若手映像作家が企画し、同じく渋谷のuplinkで開かれた「アートフィルムズ」ではパネルディスカッション(12月27日)に参加、フィルム「1秒間24コマ」(1975-78)と「あいうえおん六面相」(1993、フィルム版1995)が上映され、討議に加わった。

「Reviews of Takahiko iimura」発刊
飯村隆彦の映画、ビデオ、マルチメディアの作品についての批評を集めた冊子(A4、70頁、英語版)が自費出版された。ジョナス・メカスのAi(Love)(1962年)についての批評から新作、CD-ROM「Observer/Observed」(1999)について、MITPressによるインターネット上のデジタル・レビュー(2001年)まで。他にスコット・マクドナルド、マルコム・レグライス、ダニエル・シャルル、ダリル・チン、山口勝弘、浅沼圭二などが執筆している。飯村隆彦の作品研究には必携の批評集。一部1,000円で頒布。飯村隆彦映像研究所宛に送料270円を加え申し込むと3週間以内で発送される。また、日本語版が1月末に発刊予定。

                        2002年もよろしく。飯村隆彦

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