2000年5月

飯村隆彦のNewsletter No.12

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ラ・カメラでフィルム・パフォーマンス

Ex. films meet Ex. music

日本映像学会で研究発表

日本のマルチメディア論を批判

スペインにアーティスト・レジデンシィ

オックスフォードMoMAで「間」

Amazon.comで作品販売   

クレモン・フェランビデオ祭で上映 

N.Y.の3会場で個展

MoMAでビデオとフィルム上映

「タカとアコ」S.F8ミリ映画祭

香港美波電子媒体節

Media City 6(カナダ)でCD-ROM


Newsletter 56789 1011::::13

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■ラ・カメラでフィルム・パフォーマンス

ニューヨークで、3―4月にかけて、ビデオ、CD-ROM、フィルム・パフォーマンスの個展を3会場で開いた(別項参照)。その会場でいつも熱心に見入っていた映像作家、中岡りえさん(在ニューヨーク)の発案により、「Space/Time-Time/Place」の2人展が、乃木坂のラ・カメラ(Tel.5410-4405)で、5月26日(金)、27日(土)に開かれる。飯村のプログラムは、ニューヨークで大きな反響があった、レクチャーを伴ったビデオ/CD-ROM「オブザーバ/オブザーブド」(5/26) とフィルム・パフォーマンス「サークルとスクエア」、フィルム「1秒から60秒まで」(5/27)で、26 日と27日はそれぞれ異なるプログラム。とくに「サークルとスクエア」の初演はニューヨークで1982年だが、今回が日本での初演。ニューヨークではスペクタキュラーなパフォーマンスとなったが、偶然の要素が大きいだけに、どのような展開になるかは、興味津々。

■Ex. films meet Ex. music

サイレント映画に、実験的な即興音楽を演奏する試みは、映画に新しい光を与えるものとして注目されてきた。5月24日(水)、東京は高円寺のShow Boat (tel.3375-5745)で「電影楼的夜」が、飯村のパーソナルなシネマテーク、アイ・シネマテークと共催で開催される。プログラムは、カール・ドライアーの名作「裁かれるジャンヌ」(1928)、飯村の初期の代表作「視姦について」(1962)(中西夏之と共作)と、最近発見された未発表のスニーク・プレビューである「ブリンキング」(1971)など、すべてサイレント・フィルム。ミュージシャンは、向井千恵、クリストフ・シャルル、古舘徹夫、田中能、飯村隆彦など8〜9人。「視姦について」は、クズ箱から拾われたアメリカの性教育映画に無数のパンチとカラードローイングとサブリミナルなポルノ写真が加わった「いわくつき」の作品。フリッカー・フィルムの「ブリンキング」(まばたき)は、視力の弱い人にはサングラスが必携。

■日本映像学会で研究発表 

映像(写真・映画・ビデオ・コンピュータなど)関係の創作者や研究者の集まりである日本映像学会で「マルチメディアとビデオの記号学」を発表する。大会は東京造形大学(JR八王子乗り換え、横浜線相原下車、バス5分)で6月10日(土)、11日(日)に開かれ、飯村は2日目の午後一番目に発表予定。CD-ROM作品「オブサーバ/オブザーブド」(1998~99年)を基に、マルチメディアの理論と実践を「ビデオの記号学」に関して発表する。今年は、発表だけではなく、関連するテーマでディスカッションも行なわれる。テーマの詳細は飯村のカタログ[takahiko iimura, SEEING, film et video」(仏語及び日本語)、「takahiko iimura, at the Lux」(英語)に同論文が掲載されている。(販売:飯村隆彦映像研究所)

■日本のマルチメディア論を批判

日本のマルチメディア議論があまりにも産業主導でアーティストの発言が少なく、その内容も技術偏重で、芸術的な理論の欠除を批判する論文「電子出版とマルチメディア・アート(II)」が、名古屋造形芸術大学紀要、2000年版(Tel. 0568-79-111教務部)に発表された。すでにCD-ROMの3作品を発表して、マルチメディアの実践もふまえた上で、アメリカとヨーロッパのマルチメディア論も引用しながら、日本のマルチメディア論の虚実を衝く。同論文の第1回は、同大学の紀要、1998年版に掲載されており、併読が望まれる。

■スペインにアーティスト・レジデンシィ

スペイン南部のアンダルシア地方のアルメリアにあるバラパライソ財団(スペイン教育文化省認可)には毎年ヨーロッパやアメリカから選ばれた8人のアーティストが制作のために招待される。今年9月の1ヶ月、同財団のアーティスト・レジデントとして滞在が決まった。また9月末にはバルセロナの美術館で映像の個展を予定している。

■オックスフォードMoMAで「間」

「Enclosed and Enchented」(閉ざされ、閉ざされて」というタイトルで、庭園をテーマとするイギリスのオックスフォード近代美術館(MoMA)の展示に,ギルバード&ジョージらの作品とともに飯村の「間:竜安寺の石庭の時/空間」が、上映される。この映画は、ニューヨークのメトロポリタン美術館の委嘱による、磯崎新(テキスト)、小杉武久(音楽)とのコラボレーション作品。オックスフォードMoMAでの7月を皮切りに、イギリスとヨーロッパの美術館、数ヶ所を巡回する。

■Amazon.comで作品販売

アメリカのインターネットによる書籍販売で名が知られているAmazon.comが、飯村作品の配給を始めた。ビデオの「John Cage Performs James Joyce」と「Ma:Space/Time in the Garden of Ryoan-ji」とCD-ROM「Interactive:AIUEONN Six Features」の3作品。Amazon.comは、ビデオアートの販売にもひとつの可能性を開いた。アクセスはhttp://www.amazon.com、これでvideo あるいはCD-ROMはBooksを選ぶ。あとは検索でタイトルを入れる。

■クレモン・フェランビデオ祭で上映

フランスのほぼ中央に位置するクレモン・フェランで毎年、実験的なビデオが上映されていることを知る人は少ない。最近はCD-ROMやDVDなど、マルチメディアを含め、今年は飯村のCD-ROM「Observer/Observed」が選ばれた。コンピュータを並べたテーブルに観客はいつでも自由に来て、自由に見るというフリースタイル。これまでの映画祭の一堂に集まって、誰もが同一画面を見るというシステムから、観客がより選べるものに変化している。それだけに、観客と作家の間の自由なディスカッションやインターネットを通じた不参加の観客とも交流できる場が求められる。

■N.Y.の3会場で個展

毎年、3月にニュ-ヨークで個展を開くことが、最近恒例となっているが、今年は3会場を使って、ビデオ/CD-ROM、フィルム、パフォーマンスとメディアを分けて行われた。これはマルチメディアが個々のメディアの問題を解消するものではなく、逆に、マルチメディアの出現によって、個々のメディアの問題が提起されるという視点から実現された。最初のビデオ/CD-ROMは、最近作のCD-ROM「インタラクティブ:あいうえおん六面相」(1999年)と「オブザーバ/オブザーブド」をそのビデオ版と共に上映(ミレニアム、3月25日)して、メディアの相関性を問題にした。第2回会場(アンソロジー・フィルム・アーカイブス、3月31日)では フィルムのみで、「Mostly Time Related Films」のタイトルで、主に70年代に制作した時間にかかわるコンセプチュアルな映画を7本。第3回会場(ロバート・ベック・メモリアル・シネマ、4月4日)は、若い人たちが始めた新しい映画劇場で、フィルム・パフォーマンス「サークル とスクエア」の新しいバージョン(かつての2台から1台の映写機による)を公演した。クロミのフィルムのループを会場に大きく吊るして、作家がパンチャーで無数の穴を開けてゆく。スクリーンには巨大な穴がフリッカーとなって明滅し、その頻度を増すと共に、途中何度もフィルムが空中でからまって、映写機はガタガタをいう機械音を上げ、フィルムが切れるのではないかという不安をかきあげた。それでも立ち直って、パフォーマンスは30分以上にわたった。

■MoMAでビデオとフィルム上映 

ニューヨークの近代美術館(MoMA)のビデオ・キューレータ、バーバラ・ロンドンさんは度々来日し、知人も多い。その彼女が、ビデオ・カメラを片手に「dot JP キューレータの日本日記」をMoMAの地下にカフェを開いて、コンピュータを並べ、昨年11月から今年3月まで4ヶ月も展示した。そのひとつに、飯村の「あいうえおん六面相」(1993年)が、若い日本のアーティストと共に、毎日、6台のモニターで上映された。また、フィルム・キューレータのイエッテ・ヤンセンさんは2年がかりの「8ミリ映画の歴史:Big As Life」で、飯村の「トーキング・ピクチャー:映画を見ることの構造」(1981年)を今年、1月13日に上映した。8ミリ上映のため、あえて小さな試写室を一般に公開して、インティメートな雰囲気に気を使った。作品は本人が出演して、真っ白なスクリーンに向かって語るひとつの映画論、作家と観客の二重の視点から議論する。

■「タカとアコ」S.F8ミリ映画祭

アメリカには、今でも8ミリ好きな映像作家は少なくなく、一方でデジタル・シネマを語りながら、8ミリも大事にする。「Small Windows」という8ミリ映画祭が、サンフランシスコ・アートインスティチュートで、2月の5、6日の2日間開かれ、飯村の「タカとアコ」(1966年)が上映された。スタン・ブラッケージの初期の「Songs」(1964~65年)シリーズと共に、8ミリ映画の古典として紹介された。この8ミリ映画祭は8ミリでも、すでに生産中止された、レギュラー8ミリだけを特集したから、その考古学的価値は大きい。「タカとアコ」は、結婚式のために制作した「ホーム・ムービー」だが、二人のアルバムを交互に見る現在とその過去とが交錯した「実験映画」でもある。

■香港美波電子媒体節

ホンコンの「マイクロウェーブ2000」(美波電子媒体節)はアジアでほとんど唯一マルチメディアを含むビデオフェスティバルで、国際的なメディア・フェスティバルに連動した内容をもっている。残念ながら、名古屋での個展と重なって、飯村は出席出来なかったが、ビデオの「オブザーバ/オブザーブド」が上映された。フェスティバルは、1月21日から27日まで、香港大展示場などで開催された。プログラムから見ると、アメリカ、ヨーロッパ、南米などの新しい、実験的な作品を紹介している。事実、自作の「オブザーバ/オブザーブド」がアジアで上映されるのは、日本を除けば、初めて。アジアのメディア・アートも新しい胎動を起こしている。

■Media City 6(カナダ)でCD-ROM

カナダのウィンザーの「メディア・シティ6」は実験的なフィルムとビデオ・アートに限ったフェスティバルで、小規模ながら、アーティストの間では、高い評価がある。最近はやはり、CD-ROMも含め、飯村の「インタラクティブ:あいうえおん六面相」のCD-ROMが選ばれ、コンペの外で、会場のロビーで自由にマウスを動かして見られた。コンペでは日本の若手作家、狩野志歩さんの「Still」が、グランプリを分け合った。

 また、アジア系アメリカ人のフェスティバルであるロサンジェルス・アジア・パシフィック映画&ビデオ祭(5月18-25日)でも、同じCD-ROM作品が選ばれた。ここではCD-ROMをモニターではなく、会場の大スクリーンに投映して、操作する。CD-ROMによるスクリーン・パフォーマンスと言える。

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