飯村隆彦のNewsletter No.11
■「電子時代の肖像」展(名古屋)
■「ヨーコとジェンダー」京都バージョン
■「飯村隆彦の1960年代」上映
■「境界の映像」札幌上映
■「ビデオの記号学」映像学に掲載
■パリ、ジュ・ドゥ・ポムのカタログ
■ArtMedia、サレルノ(イタリア)
■ホイットニイ100年展に「Love」
■「Observer/Observed」が受賞
■新作CD-ROMの上映
■「60s Experiments」ビデオ発刊
■Leonardo誌に寄稿
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あけましておめでとうございます。 2000年1月1日
昨年中は大変お世話になりました。
本年もよろしくお願い申し上げます。 飯村隆彦
■「電子時代の肖像」展(名古屋)
近年、欧米の美術館や画廊展等において映像の占める割合は大変大きく、特に、画廊壁への直接投映による壁画的なスケールの大型映写が顕著であり、映像と絵画の融合の新しい現象がある。これまで30年以上美術と映像の境界領域で制作をしてきた作品から、特にポートレートを中心に、アイデンティティの問題にかかわって、<肖像画>の新しいあり方を問う、「飯村隆彦映像個展 電子時代の肖像」展が、2000年1月25日から30日まで、名古屋市市政資料館で(tel.052-953-0051)で開かれる。この個展には、芸術文化振興基金、朝日新聞文化財団、大幸財団からの助成がある。また、同時に昨年来名古屋造形芸術大学で、飯村との共同研究者として、ピッツバーグから名古屋に滞在しているメディア・アーティスト、スティーブ・ショー氏も個展を、同時期に同じ資料館の隣室で開く。
■「ヨーコとジェンダー」京都バージョン
昨年1月の東京のアテネ・フランセでの「オノ・ヨーコとジェンダー」につづいて、京都のフェミネット企画の協力を得て、「オノ・ヨーコ フィルム作品/ビデオ上映会」が11月6日(土)、京都アスニーで、京都精華大学教授の三木草子さんと飯村隆彦のトーク「オノ・ヨーコとジェンダー」を含む3プログラムで開催された。このプログラムは、日本では名前のみ有名で、その作品が知られていないヨーコのアート、特にフィルム作品にしぼって、フェミニズム映画としても、実験映画としてもユニークなところを明らかにする試み。上映作品には、ジョン・レノンが共同制作した作品「ツー・バージン」や「アポテオシス」を含めた短編プログラムと、問題作「レープ」と飯村によるヨーコの個展の記録ビデオ「This
is not here」によるプログラムから成る。当日は、急遽、ニューヨークのオノ・ヨーコさんと電話でのトーク参加が実現し、観客には予期しない驚きとなった。彼女は観客の質問やコメントにニューヨーク時間の朝6時にもかかわらず、ていねいに答えた。
■「飯村隆彦の1960年代」上映
東京は神楽坂のユニークなスペースで、演劇、ダンス、音楽の実験場として知られている
die pratze主催の「Mentally Shocking Arts Collection 1999」で、「飯村隆彦の1960年代」が10月23日(土)、24日(日)に上映された。プログラムは、「Junk」(1962)、「Ai(Love)」(1963)などの作品がビデオ上映され、観客は飯村の初期の作品を知らない若い世代で占められた。このdie
pratzeのシリーズは、演劇をアートとして再生する試みで、飯村の実験映画もアートとして見る眼があっての招待。上映には、映像作家の大西健児氏と橘薫氏の協力があった。
■「境界の映像」札幌上映
アート・コーディネーター安田和代さんの企画「Time Based Art 境界を移動する」で、「60年代の実験映画」と「飯村隆彦のコンセプチュアル・シネマ」の2プログラムで構成される「境界の映像」が札幌のFree
Space PRAHAで10月6日(土)に上映された。最近の映像への関心と60年代への再評価の機運もあり、若い観客が目立った。トークに参加した北海道教育大学の伊藤隆介氏(メディア・アーティスト)は、実験映画のおもしろさとアートとしてのフィルムを軽やかに解説。作家はニューヨークから送られたビデオによって語り、摩天楼をバックに、シルエットで語る姿は、それ自身、ひとつの作品としても見られた。作品解説の小冊子がPRAHA
Projectより発行された。
■「ビデオの記号学」映像学に掲載
日本語として最初に「ビデオの記号学」が1983年に日本映像学会の機関誌「映像学」に第1部が掲載されてから実に、16年ぶりにその第2部が、同じ「映像学」(第62号、99年5月)に掲載された。この論文は、自作の「Camera,
Monitor, Frame」「Observer/Observed」「Observer/Observed/Observer」の3部作の解説の形をとりながら、「理論と実践の相互浸透」(ダニエル・シャルル)を試みたもので、全編を統合した論文は、英語版が「takahiko
iimura, Film, video, CD-ROM, Installation」( London Filmmakers' Cooperative,
London, 1998年)、日仏版が「takahiko iimura, Seeing, film et vid姉」(Jeu
de Paume, Paris, 1999年)にそれぞれダイアグラム入りで掲載されている。
■パリ、ジュ・ドゥ・ポムのカタログ
5月のパリ、ジュ・ドゥ・ポム国立ギャラリーでの回顧展に際して発刊された飯村隆彦のカタログ「takahiko
iimura, Seeing, film et vid姉」(日仏語版、A4変形、126頁)が、エッセイに、「ジョン・ケージ」の著作のある哲学者ダニエル・シャルル、パリ、シネマテークのキュレータ、ニコラ・ビロドル、「現代日本の映像芸術」の大著のあるクリストフ・シャルルと、作家自身の論文「ビデオの記号学」も含め、さらに多数の作品写真と、作家ドキュメントもあり飯村隆彦の全貌を知る出色の出版物となっている。すっきりしたデザインと編集も、映像作家のカタログとして他に例を見ないもので、ジュ・ドゥ・ポム、ポンピドゥセンターのショップでも販売されている。日本でも1部、3000円(送料込み)で、飯村隆彦映像研究所より入手できる。
■ArtMedia、サレルノ(イタリア)
哲学者ダニエル・シャルルの推薦で、イタリアのサレルノ大学で11月25日〜27日の間に開かれた「ArtMedia
VII」の会議に「Observer/Observed」のビデオ発表と講演「ビデオの記号学」が招待された。この会議は哲学者を主体としながらも、毎回アーティストも参加して、「アートメディア」について論ずる国際会議で、サレルノ大学のマリオ・コスタ教授が主催する。2年前、1998年にローマの日本文化会館とディアゴナーレで個展をして、伊英語のカタログも発刊していることから、イタリアでも「ビデオの記号学」が評価されていることを示すものといえる。会議では、イタリアから音響詩(ポエジ・ソノーレ)の発表もあって、未来派以来の伝統をもつパフォーマンスが印象的であった。
■ホイットニイ100年展に「Love」
ニューヨークのホイットニイ美術館が数年がかりで準備し、自ら「アメリカの世紀」をうたった100年展、1900-2000、の第2部、1950-2000(99年9-12月)に、アメリカの実験映画部門にスタン・ブラッケージやジョナス・メカスと並んで選ばれ、「Ai(Love)」がノミネートされた。飯村隆彦の「Ai(Love)」は日本で制作されたが、ニューヨークでメカスによって「発見された」こともあって、「アメリカの世紀」展に入った。この辺り、アメリカの受け入れる幅広さか、制作場所よりも、評価の場がものを言う、アメリカの文化がある。
■「Observer/Observed」が受賞
1970年代に制作されたビデオのリメイク3部作「Observer/Observed」(1975-98)が、いくつかの国際的なビデオフェスティバルで上映された、アメリカのエジソンを記念して毎年行われるブラック・マリア国際映画/ビデオ祭(99年1/29-5/21、アメリカ各地巡回)で、ディクターズ・チョイス・アワーズ賞、オハイオのコロンバス国際映画祭(99年9月)でオーナブル・メンション賞を受賞した。ブラック・マリア映画祭の審査員は、この作品を「具象的な再現と音声的なコミュニケーションの間の関係を探究する三部作」として賞賛した。他には、カナダのビクトリア国際映画祭(99年1/24-2/4)、ロサンジェルスのサウス・バイ・サウス・ウエスト映画祭(99年4/30-5/7)、香港で行われるマイクロウェーブ祭(2000年1月24日-27日)にサンパウロのビデオブラジルとして参加するプログラムにも選ばれた。また、「あいうえおん六面相」は、フランスのモナスク国際ビデオ祭(99年11/10-14)で上映された。
■新作CD-ROMの上映
ニューヨークの北方にあるイサカ市のコーネル大学で3月12日-13日、「デジタリティの芸術的ディスコース」と題するシンポジウムと上映が開かれ、主に新しいCD-ROMとウェブサイトの紹介とディスカッションが行われ、飯村はCD-ROM「インタラクティブ:あいうえおん六面相」と「Ovserver/Observed」と共に招待された。これは同大学のティモス・マレイ教授が主催するもので「コンタクト・ゾーン、CD-ROMのアート」というタイトルのCD-ROMコレクションから成っている。
上記2作のCD-ROMは、他にも上映され、スペインのバルセロナにあるメディア・センター、MACADの主催する「Mostra
International」が4月8日-30日の間、開かれ、「Observer/Observed」を紹介、サンフランシスコ近郊のミル・バレイ映画祭、10月9日-10日でも同作品が上映された。これは前年度のCD-ROM「インタラクティブ:あいえうおん六面相」の紹介に続く、2年連続の入選によるもの。映画/ビデオ祭が最近ニューメディア部門を増設して、CD-ROMを扱う傾向が増えている。尚、飯村のCD-ROMは、外国では、フランスのディストリビュータ、ウール・エクスキゼから、日本では、飯村隆彦映像研究所からそれぞれ配給されている。
■「60s Experiments」ビデオ発刊
パリの実験映画のディストリビュータ、RE:VOIRが最近刊のひとつに、飯村隆彦の60年代の代表作、「Ai
(Love)」他3作品を集め、「Takahiko IIMURA, 60s Experiments」を発刊。他に同類のビデオがないことからも、60年代を代表する作品として飯村作品が選ばれた形。ポンピドウセンターをはじめ、フランスの美術館のミュージアムショップで扱っている。但し、セカム版のみ。
■Leonardo誌に寄稿
アートとサイエンスのコラボレーションを主要なテーマとするアメリカの「Leonardo」誌(MIT
press発行)、1999年2月号に、飯村隆彦のCD-ROM「映像実験のために」(ユーフォニック社発刊)についての作者の解説原稿が掲載された。これは、同誌の「アーティスト・ステートメント」欄で、デジタルアートを推進する同誌は、CD-ROMのテキストの内容がほとんど、日本語であっても、新しい作品を紹介することに積極的である。筆者は本とは異なって、CD-ROMにおけるテキスト/映像をモニター上で、同時に「読む」ことの重要性を語っている。